新築の家に、密かに込めたささやかな想い
今回は、今も心に残る、ある個人宅の新築のお話をしましょう。
近年、自然の脅威を目の当たりにする出来事が続いていますが、
２０１８年７月、岡山県倉敷市の真備町が
突如、記録的な豪雨によって甚大な被害を受けました。
住宅が倒壊や浸水に遭い、
仮設住宅に住まわざるを得なくなった方々が
多くいらっしゃいました。
真備町にお住まいだった方から
知り合いを通して当社に建築のご依頼があったのは
その水害からまもなくのことでした。
ご依頼主様の母屋は二階まで浸水、農業用倉庫も水没し、
農業用機械は全て使い物にならなくなってしまったとお聞きしました。
当社は香川県高松市にありますから、
まずは真備町のお宅に伺い
現地を拝見させていただきました。
お宅は広い敷地の大きな家でした。
もちろん、
いきなり家の建設を始めるのではなく、
まずは解体作業から。
最初に取りかかったのは
壊れた石壁を取り払うことでした。
家や倉庫の解体はその後です。
解体作業を始めることができたのは
翌年の２０１９年４月でした。
その時、まわりは、すでに新しい家が建っていたり
建設中だったり、あるいは手付かずの場所もあったりと
様々な状態が混在していました。
ようやく解体作業が終わり、
整地をして、
建設を開始したのは２０１９年９月。
青空の下、丁寧に作業を進める。石壁だった部分はコンクリートで頑丈な土台を作り、家を囲みました
香川県から真備町まで
資材を何度も運び、
新しい家が完成したのは同年１１月。
ギリギリ年末前に
無事完成し、
ホッと
胸を撫でおろしたことを
覚えています。
なぜなら
なんとしてでも年内に完成させて、
お正月は新しい我が家で
ご家族揃って
安心して
ゆっくりと
過ごしていただきたい
と
心の奥で
密かに思っていたからです。
それが実現できて、
本当に良かったです。
無事完成！
元は二階建てでしたが今回は平家に
家の造りに関しては、
個人のお宅ですから詳しいことは書けませんが
木を扱う工務店らしい工夫を凝らした家を建てさせていただきました。
たとえば、
家を囲む塀は木で作りましたが、
家の軒裏も木で仕上げて
さりげなく塀と同調させました。
そのような細かいところにも気を配り
統一感を持たせることで
全体的に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができました。
所々のポイントに木を使い統一感のある落ち着いた雰囲気を醸し出す
通常とは異なる背景の中、
ご縁あって
関わらせていただいた個人宅の建設。
住み慣れた場所に
また安心して住むことができるようになる。
そのお手伝いができたことに
やりがいや嬉しさ
そして
感謝を感じた仕事でした。